はじめに:VBTって結局何なの?
こんにちは!Revowth 清野です。
これまでこのブログでは、スクワットやプッシュプレスのVBT実測データを公開してきました。すると「そもそもVBTって何?」「普通の筋トレと何が違うの?」という声をいただくようになりました。
そこで今回は、VBTを一からわかりやすく解説します。
VBTとはVelocity Based Training(速度基準トレーニング)の略です。バーベルやダンベルを挙げる「速さ」を測り、その数値で重量・回数・セットのやめ時を決める方法です。
「何kgを何回挙げたか」だけではわからないその日の本当の調子やトレーニングの質を、数字で見える化できるのが最大の特徴です。
「1RMの80%で5回」の落とし穴
一般的な筋トレでは、「マックス(1RM)の80%で5回×3セット」のように重量と回数を決めます。分かりやすい方法ですが、実は大きな弱点があります。
1. 1RMは毎日変わる
睡眠不足、仕事の疲れ、前回の筋肉痛……人間の体は毎日同じではありません。研究でも、その日の状態によって1RMは数%〜10%程度上下すると言われています。
つまり、調子の悪い日の「80%」は、実質的には85〜90%の重さになっている可能性があるのです。
2. 1RMを測ること自体が大変
正確な1RMを測るには、全力の挙上が必要です。初心者やご年配の方にとっては怪我のリスクもあり、頻繁に行うものではありません。
3. 「どこまでやるか」が感覚頼み
「限界まで」「あと1〜2回余力を残して」といっても、その判断はその日の気分でぶれます。
VBTは、この3つの弱点を「速度」という客観的な数字で解決します。
これだけ知ればOK!VBTの基本用語3つ
1. 平均速度(MV:Mean Velocity)
バーを挙げ始めてから挙げ切るまでの平均スピードです。単位は m/s(メートル毎秒)。スクワットやベンチプレスなどの基本種目では、この平均速度を使うのが一般的です。
重ければ遅く、軽ければ速くなります。この関係がかなり安定しているので、速度を見れば今の重さが1RMの何%くらいか推定できるのです。
2. 速度低下率(VL:Velocity Loss)
セット中の最高速度から、どれだけスピードが落ちたかを示す数字です。
たとえば最高速度が 1.00 m/s で、今のレップが 0.80 m/s なら「速度低下率20%」です。疲労がたまるほど速度は落ちるので、何%落ちたらセットをやめるかを決めるのに使います。
前回のプッシュプレスの記事で「20%低下でやめた」のは、まさにこの考え方です。
3. 最低速度閾値(MVT:Minimum Velocity Threshold)
「これ以上遅いと挙がらない」という限界の速度です。いわゆるマックス重量を挙げたときの速度と考えてください。
目安として、スクワットはおよそ 0.3 m/s、ベンチプレスはおよそ 0.15〜0.2 m/s 前後と言われています(個人差あり)。この数字を使うと、限界まで挙げなくても1RMを推定できます。
目的別!速度ゾーンの使い分け
VBTでは「何kgでやるか」ではなく、どの速度帯でやるかでトレーニングの目的を決めます。代表的な速度ゾーンがこちらです。
| 速度(平均速度) | ゾーン | 主な目的 | 1RM比の目安 |
|---|---|---|---|
| 0.5 m/s 未満 | 絶対筋力 | 最大筋力・筋力アップ | 85%以上 |
| 0.5〜0.75 m/s | 加速筋力 | 筋力+筋肥大 | 70〜85% |
| 0.75〜1.0 m/s | 筋力-スピード | 重いものを速く動かす力 | 55〜70% |
| 1.0〜1.3 m/s | スピード-筋力 | 瞬発力・パワー | 40〜55% |
| 1.3 m/s 以上 | スタートスピード | 初速・スピード | 40%未満 |
※数値はスクワット等を想定した一般的な目安です。種目や個人によって変わります。
たとえば私が取り組んでいる140kmプロジェクト(球速アップ)では、筋力だけでなく瞬発力も欲しいので、スクワットで重さを積む日と、プッシュプレスなどで速いゾーンを狙う日を使い分けています。
速度で重量を決めると「自動調整」になる
たとえば「0.6 m/s前後で組む」と決めておくと、調子がいい日は自然と重い重量に、調子が悪い日は軽めの重量になります。
これがVBT最大のメリットです。調子が悪い日に無理をして怪我をすることも、調子がいい日に物足りなく終わることも減らせます。
「追い込みすぎ」は損?速度低下率の研究
VBTが注目されるきっかけになった有名な研究があります。スペインの研究グループ(Pareja-Blancoら、2017年)が、スクワットを8週間行う実験で、次の2グループを比較しました。
- VL20群:速度が20%落ちたらセット終了
- VL40群:速度が40%落ちるまで続ける(限界に近い)
結果は、ざっくり言うと次のようなものでした。
- 最大筋力の伸び:両群でほぼ同等
- ジャンプ力(瞬発力):VL20群の方が大きく向上
- 筋肥大:VL40群の方がやや大きい
- 速筋線維(Ⅱx型):VL40群では減少傾向
つまり、VL20群は少ない回数で同じくらい強くなり、しかも速くなったということです。
目的に合わせて「やめ時」を変える
この研究から言えるのは、「追い込みは悪」ではなく、目的に合わせて低下率を選ぶのが大事だということです。
| 目的 | 速度低下率の目安 |
|---|---|
| 瞬発力・スポーツパフォーマンス | 10〜20% |
| 筋力アップ | 20〜30% |
| 筋肥大・ボディメイク | 30〜40% |
ボディメイク目的ならある程度追い込む価値はあります。一方、スポーツ選手が毎回限界まで追い込むと、疲労ばかりたまって肝心の速さが落ちる可能性があるのです。
VBTの始め方:必要なものと最初の一歩
速度を測る方法は大きく3つ
| 方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| スマホアプリ(動画解析・カメラ計測) | 手軽に始められる。精度は撮影条件に左右される | まず試してみたい人 |
| 加速度センサー型デバイス | バーや腕に付けるだけ。持ち運びやすい | 本格的に続けたい人 |
| ワイヤー式(リニアエンコーダー) | 精度が高く、研究やプロ現場で使われる | チーム・ジムでの指導 |
Revowthでは、バーに取り付けるセンサー型デバイス「Enode」を使って計測しています。挙上ごとに速度がすぐ表示されるので、セット中でも速度低下率を確認しながらトレーニングできます。
最初の1〜2週間でやること
- いつも通りトレーニングしながら速度を記録する
まずはメニューを変えず、「自分は何kgで何m/s出るのか」を知ることから始めます。 - ウォームアップの速度を調子のバロメーターにする
同じ重量なのにいつもより遅い日は、疲労が残っているサインです。 - 速度低下率20〜30%でセットを止めてみる
「まだいける」と感じても、数字を信じて終える練習をしましょう。
計測で気をつけたいポイント
- 毎回全力で挙げる:わざとゆっくり挙げると数字に意味がなくなります。
- 可動域をそろえる:スクワットの深さが浅いと、速度が上がって見えてしまいます。
- 同じデバイスで比べる:機器が変わると数値のクセも変わります。
よくある質問
Q. 初心者でもVBTは意味がありますか?
あります。初心者のうちは「あと何回できそうか」を感覚で判断するのが難しいものです。速度を見れば、無理な追い込みやフォーム崩れを防ぎやすくなります。ただし、まずは正しいフォームを身につけることが最優先です。
Q. ダイエット目的でも使えますか?
使えます。減量中はエネルギー不足で調子の波が大きくなりがちです。速度で負荷を調整すれば、筋肉を守りながら疲労をためすぎないトレーニングがしやすくなります。
Q. どの種目で使えますか?
スクワット、ベンチプレス、デッドリフト、プッシュプレスなど、バーがまっすぐ上下に動くフリーウエイト種目と特に相性がいいです。マシンやケーブル種目でも測れますが、数値の目安は種目ごとに変わります。
Q. 表の速度ゾーンはそのまま使っていい?
最初の目安としては十分です。ただし速度と重さの関係には個人差があるので、記録を積み重ねて自分専用の負荷‐速度プロフィールを作るのが理想です。
まとめ:感覚だけに頼らない筋トレを
- VBTは挙上速度でトレーニングを管理する方法
- 速度を見ればその日の調子に合わせて重量を自動調整できる
- 速度低下率でセットのやめ時を決めれば、目的に合った質の高いトレーニングになる
- 瞬発力なら10〜20%、筋肥大なら30〜40%が目安
「頑張っているのに伸びない」「停滞している」という方こそ、一度速度を測ってみてください。これまで見えなかった課題が数字で見えてくるはずです。
Revowthでは、今後も科学的アプローチでトレーニングの常識を変えていきます!
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店舗紹介
岐阜県の岐南町というところでパーソナルジムをしています。VBTを使ったトレーニングに興味がある方、自分の挙上速度を測ってみたい方は、HPからお気軽にご連絡ください。

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