こんにちは!Revowth 清野です。
以前の記事「食事の誤解6選」で、「腎機能が正常な人なら、高タンパク食で腎臓に悪影響は確認されていない」という国際スポーツ栄養学会の総説を紹介しました。
先日、この話題について少し違う角度から考えさせられる記事を読みました。書いたのは、ケンブリッジ大学で研究をしている栄養疫学者のnutrepiさんです。今回は、その記事でどんなことが述べられていたのかを紹介しつつ、トレーナーとしての考えもお伝えします。
元の記事はとても丁寧に書かれているので、ぜひ本文も読んでみてください。
▶ nutrepiさんのnote記事「たんぱく質・プロテインの摂取(食事・サプリメント)に関して考えていること」
ひとことで言うと「悪いという証拠はないが、安全と言い切れるほどの証拠もない」
記事の主張をざっくりまとめると、次のようになります。
- 健康な人について、たんぱく質が腎臓に悪いという強い証拠はない
- ただし、それは「長期的にも安全だと証明された」という意味ではない
- 特にプロテインサプリメントそのものの長期的な影響は、ほとんど調べられていない
「プロテインは危ない」と主張しているわけでも、「どんどん飲んでいい」と勧めているわけでもありません。研究結果をどう読み取るべきかを整理した内容です。ここから、印象に残ったポイントを紹介します。
ポイント1:推奨量がバラバラなのは「目的」が違うから
たんぱく質の推奨量を調べると、体重1kgあたり0.8g、1.2g、1.6g、2gなど、いろいろな数字が出てきます。記事では、これはどれかが間違っているのではなく、目的が違うからだと説明されていました。
- 一般の人向けの基準:たんぱく質の不足を防ぎ、体の正常な働きを保つための量
- スポーツ栄養の推奨:筋肉を増やす・回復させる・トレーニングに適応するための量
たとえば体重70kgの人なら、体重1kgあたり0.8gで56g、1.6gで112gと、同じ人でも2倍の差が出ます。「1日○gとりましょう」という数字を見たら、誰の、何のための数字なのかを確認することが大切、という指摘でした。
ポイント2:腎臓への影響は、長期的には「わかっていない」
「高タンパク食は腎臓に悪くない」という話の根拠としてよく使われるのが、健康な成人を対象にしたランダム化比較試験をまとめた2018年の研究(Devriesら)です。この研究では、たんぱく質を多くとっても腎機能の指標に悪影響は見られませんでした。
nutrepiさんも、この研究が信頼できるデータであることは認めています。そのうえで、次の点を指摘していました。
- 集められた試験の多くは、参加者が数十人規模、期間も数週間〜長くて1年程度
- そのため、何年もとり続けたときに腎臓病になるリスクまでは調べられない
つまり、わかっているのは「短い期間なら、腎機能の数値に悪い変化は出なかった」ということ。長期的な病気のリスクについては、この研究からは判断できない、ということです。
ポイント3:試験の多くは「食事」のたんぱく質だった
個人的に一番ハッとしたのがこのポイントです。
「プロテインは腎臓に悪いの?」と心配する人の多くは、粉末のプロテインサプリメントのことを気にしていますよね。ところが、先ほどのまとめ研究に含まれていた試験を確認すると、プロテインサプリメントを使ったものはほんの数本(nutrepiさんが確認した限りでは4本)だったそうです。
ほとんどの試験は、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などの普通の食品で、高タンパクの食事を作っていました。食品にはたんぱく質以外の栄養素もたくさん含まれているので、その結果をそのまま「精製されたプロテインパウダーも安全」と読み替えるのは慎重になるべき、という指摘です。
ポイント4:「効果が認められなかった」は「効果がない」ではない
研究でよく使われる「悪影響は認められなかった」という表現。これは研究結果として正確でも、「悪影響がないことが証明された」とは別物です。
研究の規模が小さい、期間が短い、そもそも知りたいこと(今回ならプロテインサプリ)を調べていない。こうした場合は、差が出なくても「影響ゼロ」とは言えません。疫学の世界では「証拠がないことは、ないことの証拠ではない」という有名な言葉もあるそうです。
ポイント5:長期の影響を調べるのは、実はとても難しい
「なら、長期間追跡する研究をすればいいのでは?」と思いますよね。記事では、プロテインサプリの長期的な影響を調べるのが難しい理由も挙げられていました。要点はこの3つです。
- 重い腎臓病は、新しく発症する人の割合が低いため、統計的に差を見つけにくい
- 20〜40代でプロテインを飲む人が、腎臓病が気になる年代まで同じ製品を飲み続けるとは考えにくい
- プロテインを飲む人は運動習慣があり、健康意識も高いことが多い。もし「飲む人ほど腎臓病が少ない」という結果が出ても、プロテインのおかげか運動のおかげか区別できない
また、市販のプロテインには甘味料などの添加物が含まれていて、その中身はブランドごとに違います。その影響まで含めて評価するのは難しい、という点にも触れられていました。成長期の10代がサプリでたんぱく質をとることについても、慎重な見方が示されています。
ポイント6:結局、プロテインは飲んでいいの?
ここが一番気になるところですよね。nutrepiさんの答えは、「健康への影響だけで決める必要はない」というものでした。
- 便利さ:買い物・調理・片付けが不要で、水に溶かすだけでたんぱく質がとれる
- 栄養:食品からはビタミンやミネラルなども一緒にとれるので、完全な置き換えにはならない
- お金:たんぱく質1gあたりの値段で比べると、食品の方がお得なことが多い
実際、nutrepiさん自身も、朝食の準備を手早く済ませたいときや、長い距離を走ったあとにはプロテインを飲んでいるそうです。健康・時間・お金・気分など、何を重視するかで判断すればいいという、とても現実的な結論でした。
トレーナーとしての私の考え
前回紹介した総説と、今回の記事は矛盾しているわけではないと私は考えています。
- 総説:健康な人では、短〜中期の研究で腎臓への悪影響は確認されていない
- 今回の記事:だからといって、長期的・サプリメントについてまで安全が証明されたわけではない
どちらも同じデータを見ていて、「どこまで言えるか」の線の引き方が少し違うだけです。そのうえで、Revowthでは次のようにお伝えしています。
- たんぱく質は、まず普段の食事からとる
肉・魚・卵・乳製品・大豆製品を毎食少しずつ。ほかの栄養素も一緒にとれて、コスパもいいです。 - プロテインは「足りない分を補う便利な道具」として使う
トレーニング後や、忙しくて食事が手薄になる日に。1日の食事の大半をプロテインに置き換えるのはおすすめしません。 - 成分表示を見る習慣をつける
ブランドによって甘味料などの添加物はさまざまです。気になる方は、原材料がシンプルなものを選ぶのも一つの方法です。 - 腎臓に不安がある方は、必ず医師に相談する
健康診断で腎機能を指摘されている方や持病のある方は、自己判断でたんぱく質を大きく増やさないでください。 - 10代は食事を優先する
成長期はたんぱく質がたくさん必要ですが、まずはしっかり食事でとることを考えましょう。
まとめ:「わかっていること」と「わかっていないこと」を分けて考えよう
| わかっていること | まだわかっていないこと |
|---|---|
| 健康な人が短〜中期間たんぱく質を多くとっても、腎機能の数値に悪い変化は出なかった | 何年もとり続けたときの腎臓病のリスク |
| 推奨量の違いは、主に目的の違いによるもの | プロテインサプリメントそのものの長期的な影響 |
| プロテインには、手軽さという大きなメリットがある | サプリに含まれる添加物の長期的な影響 |
SNSでは「プロテインは安全!」「プロテインは危険!」と白黒はっきりした情報が目立ちます。でも実際の研究は、もっとグレーな部分を含んでいます。わかっていることと、わかっていないことを分けて考えるだけで、情報に振り回されにくくなるはずです。
Revowthでは、今後も科学的根拠に基づいたトレーニングと食事の情報を発信していきます!
参考
- nutrepi「🍖たんぱく質・プロテインの摂取(食事・サプリメント)に関して考えていること🍳」(note, 2026年11月)
https://note.com/nutrepi/n/n8fa5c4c7e69f - Devries MC, et al. Changes in Kidney Function Do Not Differ between Healthy Adults Consuming Higher- Compared with Lower- or Normal-Protein Diets: A Systematic Review and Meta-Analysis. The Journal of Nutrition. 2018;148(11):1760-1775.
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店舗紹介
岐阜県の岐南町というところでパーソナルジムをしています。「自分に必要なたんぱく質の量がわからない」「プロテインに頼りすぎていないか不安」という方は、HPからお気軽にご連絡ください。食事サポート付きのダイエットコースもご用意しています。

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