はじめに:爆発的なパワーをつけるには「粘ってはいけない」
こんにちは!Revowth 清野です。
皆さんは「プッシュプレス」のような瞬発系種目を行う際、何を基準にセットを終えていますか? 「限界まで」「挙げられなくなるまで」やっていませんか?
実は、パワー向上を目的とする場合、「限界まで追い込む」のは逆効果になることがあります。 今回は、プッシュプレス(50kg)の計測データをもとに、**「なぜ余力を残して終わるのが正解なのか」**を、VBT(速度基準トレーニング)の観点から解説します。
動画解析:60kgプッシュプレス・8回の推移
まずは、実際にVBTデバイスで速度を計測しながら行ったトレーニングデータを見てみましょう。
【計測データ詳細】
動画内の数値の変化にご注目ください。
- 1レップ目: 0.89 m/s
- 2レップ目:0.96 m/s(最高速度)
- ここで神経系が完全に覚醒し、最も高いパワーが出ています。
- 3〜5レップ目: 0.92 m/s(非常に安定した高出力を維持)
- 6レップ目: 0.86 m/s(低下率 -10%)
- わずかにスピードが落ち始めました。
- 7レップ目: 0.83 m/s(低下率 -14%)
- 8レップ目: 0.77 m/s(低下率 -20%)
- ここでセット終了。
なぜ8回目でラックに戻したのか?
動画を見ていただくとわかりますが、8回目はまだフォームも崩れておらず、体力的に「挙がらない」わけではありません。感覚だけで行っていれば、あと2〜3回は挙げていたでしょう。
しかし、データは**「最高速度(0.96 m/s)から20%スピードが落ちた」と示しました。 VBT理論において、瞬発力トレーニングでは「速度低下(Velocity Loss)が20%に達したら即終了」**というのが一つの黄金ルールです。これ以上続けると、動きが遅くなり、トレーニングの目的が「パワー向上」から「筋持久力・筋肥大」へと変わってしまうからです。
VBT導入のメリット:プッシュプレス編
1. 「遅いレップ」を学習させない
プッシュプレスで重要なのは、下半身のパワーを爆発的にバーベルへ伝えるスピードです。 疲労して遅くなった動き(Grinding Reps)を繰り返すと、脳と神経は「遅い動き」を学習してしまいます。 動画のように**「速く動けている美味しい部分だけ」**を食べてセットを終えることで、常に高品質な爆発的動作を身体に刷り込ませることができます。
2. 客観的な「やめ時(カットオフ)」の設定
「まだいけるかな?」という主観は、その日の気分で変わります。 しかし数値は嘘をつきません。
- 「20%落ちたらやめる」 という明確なルール(Velocity Loss Cutoff)を設けることで、オーバートレーニングを防ぎ、毎セット常にフレッシュな状態で爆発的な挙上を行うことができます。
3. フォーム崩れの未然防止
プッシュプレスは疲労困憊まで行うと、腰を反ったり、膝の使い方が雑になったりと、フォームが崩れやすい種目です。 速度が極端に落ちる前にセットを切り上げることは、怪我のリスク管理としても非常に優秀です。
まとめ:量より「質」をデータで管理せよ
今回の60kgプッシュプレスは、まさに**「量より質」**を体現したセットでした。
- 最高速度 0.96 m/s をマーク
- 低下率 20% (0.77 m/s) で潔く終了
このメリハリこそが、スポーツパフォーマンスや瞬発力を劇的に向上させる鍵です。 「最後まで追い込まない勇気」を、VBTというテクノロジーが与えてくれます。
Revowthでは、今後も科学的アプローチでトレーニングの常識を変えていきます!
店舗紹介
岐阜県の岐南町というところでパーソナルジムをしています。もし私の取り組みに興味が出てトレーニングを受けてみたいなどあればHPからお気軽にご連絡ください。

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